税務上の居住者・非居住者の区分
日本の所得税法では、「居住者」は全世界所得(日本国内外のすべての所得)に対して課税されますが、「非居住者」は日本国内源泉所得のみに課税されます。したがって、海外移住によって非居住者になることで、海外の所得(海外投資・海外事業所得等)に対する日本の課税を回避できます。
非居住者の要件
税務上の非居住者とは、「国内に住所を有せず、かつ、現在まで引き続いて1年以上国内に居所を有しない個人」と定義されています。住所の判定は、「生活の本拠」があるかどうかによって行われます。単に海外に1年以上滞在しているだけでなく、日本に生活の本拠がないことが必要です。
| 判定要素 | 居住者と判定される可能性が高い場合 | 非居住者と判定される可能性が高い場合 |
|---|---|---|
| 家族の居住地 | 配偶者・子が日本に居住 | 家族全員が海外に移住 |
| 日本の自宅 | 日本に自宅を保有・維持 | 日本の自宅を売却・解約 |
| 日本での職業・事業 | 日本の会社の役員・従業員 | 日本での職業・事業なし |
| 日本への滞在日数 | 年間多数の日数を日本で滞在 | 年間の日本滞在が短期間 |
出国税(国外転出時課税)の概要
1億円以上の有価証券等(株式・投資信託等)を保有して出国する場合、出国時に含み益に対して所得税が課税される「国外転出時課税(出国税)」が適用されます。出国税は、出国時点での含み益に対して15.315%(所得税)が課税されます。ただし、出国後5年以内(延長申請で10年以内)に帰国した場合や、出国後5年以内に有価証券等を売却しなかった場合は、出国税の取消し・還付が受けられます。
まとめ:海外移住による節税は慎重な計画が必要
海外移住による非居住者化は、日本の所得税・住民税の大幅な節税につながりますが、住所の判定・出国税・帰国後の課税など多くの税務上のリスクがあります。海外移住を検討する場合は、国際税務に精通した税理士と事前に十分に相談して、税務上のリスクを把握した上で計画を立案することをお勧めします。



