相続税対策
2026年2月22日3分で読める2

相続税の物納:不動産・株式で納税する方法と手続きの完全ガイド

山田 恵子

税理士・CFP

相続税の物納:不動産・株式で納税する方法と手続きの完全ガイド

相続税の物納とは

相続税は原則として現金で一括納付しますが、相続財産の多くが不動産や非上場株式など換金困難な資産である場合、現金での納税が困難なケースがあります。このような場合に活用できるのが「物納」制度です。物納とは、相続税の納税を金銭の代わりに相続財産そのもので行う制度で、相続税法41条〜43条に規定されています。

物納の要件と申請条件

物納が認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。①延納によっても金銭で納付することが困難な金額であること、②物納申請財産が物納に充てることができる財産であること、③申請期限(相続税の申告期限)までに申請書を提出すること、④物納申請財産に関する書類を申請期限までに提出すること(管理処分不適格財産でないこと)。

物納財産の種類優先順位主な注意点
国債・地方債・上場株式・上場投資信託第1順位最も優先される財産
不動産・船舶・国内の非上場株式第2順位管理処分不適格財産は不可
動産(自動車・美術品等)第3順位実務上ほとんど使われない

管理処分不適格財産と物納劣後財産

物納に充てることができない「管理処分不適格財産」には、①抵当権等の担保権が設定されている財産、②係争中の財産、③境界が未確定の土地、④建物が存在しない土地(更地)で一定のもの、⑤共有財産(他の共有者の同意がない場合)などが含まれます。また、「物納劣後財産」(担保権のない動産等)は他に充てるべき財産がない場合のみ物納が認められます。

物納と延納の比較:どちらが有利か

相続税の納税が困難な場合の選択肢として、物納と延納があります。延納は年利1.2〜6.0%の利子税を支払いながら分割納付する制度で、最長20年の延納期間が認められます。物納は財産そのもので納税するため利子税は不要ですが、物納財産の評価額が相続税評価額となるため、時価より低い評価の財産を物納すると実質的な損失となる場合があります。

不動産物納の実務上の注意点

不動産を物納する場合、税務署が受け入れる評価額は相続税評価額(路線価ベース)です。時価が相続税評価額を大きく上回る不動産を物納すると、差額分が損失となります。逆に、時価が相続税評価額を下回る不動産(過大評価の土地など)を物納すると有利になります。物納前に不動産の時価と相続税評価額を比較して、物納の有利・不利を判断することが重要です。

まとめ:物納は最後の手段として適切に活用

相続税の物納は、現金での納税が困難な場合の重要な選択肢ですが、管理処分不適格財産の確認、物納財産の評価額の比較、延納との比較検討など、慎重な判断が必要です。物納申請は申告期限までに行う必要があるため、相続開始後早期に税理士と相談して、最適な納税方法を選択することをお勧めします。

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