繰越欠損金とは何か
法人が事業年度において損失(欠損金)を計上した場合、その欠損金を翌期以降の事業年度に繰り越して、将来の黒字(所得)と相殺することができます。これを「繰越欠損金」といいます。2016年度税制改正以降、繰越期間は最長10年間(2016年3月31日以前に開始した事業年度に生じた欠損金は9年間)となっています。繰越欠損金は、法人税の節税において非常に重要な制度です。
繰越欠損金の控除限度額
繰越欠損金を使って所得を減少させる場合、控除できる金額には上限があります。中小法人(資本金1億円以下等)は所得の100%まで控除できますが、大法人(資本金1億円超等)は所得の50%までしか控除できません。この控除限度額の違いにより、大法人では繰越欠損金があっても毎期最低50%の所得に対して法人税が課税されます。
| 法人の区分 | 繰越欠損金の控除限度額 | 繰越期間 |
|---|---|---|
| 中小法人(資本金1億円以下等) | 所得の100% | 10年間 |
| 大法人(資本金1億円超等) | 所得の50% | 10年間 |
| 更生法人・再生法人等 | 所得の100% | 10年間 |
欠損金の繰戻還付制度
中小法人は、欠損金を翌期以降に繰り越す代わりに、前期の所得に繰り戻して法人税の還付を受けることができます(欠損金の繰戻還付)。前期に黒字で法人税を納付していた場合、当期の欠損金を前期の所得と相殺して、納付済みの法人税の一部を還付してもらうことができます。資金繰りが厳しい時期に特に有効な制度です。
M&A後の欠損金引継ぎ制限
M&Aにより他社を買収した場合、被買収会社が保有する繰越欠損金を引き継ぐことができます。しかし、税務上の「欠損金の引継ぎ制限」(法人税法57条の2等)により、一定の要件を満たさない場合は欠損金の引継ぎが認められません。特に、欠損金目当てのM&A(いわゆる「欠損金買い」)は否認されるリスクがあります。M&A後の欠損金引継ぎについては、事前に税理士・弁護士と詳細な検討を行うことが重要です。
まとめ:繰越欠損金は計画的に活用を
繰越欠損金は、法人税節税の重要な手段ですが、控除限度額・繰越期間・引継ぎ制限など、複雑なルールがあります。特に、赤字が発生した事業年度の翌期以降の利益計画を立てて、繰越欠損金を計画的に活用することが重要です。また、欠損金の繰戻還付制度を活用することで、資金繰りの改善にも役立てることができます。


