相続税対策
2026年3月16日9分で読める7

2026年度税制改正の最新情報:富裕層に影響する主要な変更点

編集部

# 2026年度税制改正の最新情報:富裕層に影響する主要な変更点

2026年度税制改正は、富裕層・企業オーナーの資産戦略に大きな転換点をもたらします。不動産節税や高額所得者の所得税に関する変更は、従来の対策に影響を与える可能性があります。本記事では、これらの変更点を解説し、資産を守り、円滑な次世代への承継を実現するための具体的な対策を提案します。

2026年度税制改正の主要な変更点とは?

令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、富裕層に対する課税強化が明確に打ち出されました。相続税・贈与税、所得税において、有効とされてきた節税スキームにメスが入ります。主な変更点は以下の通りです。

貸付用不動産の評価方法の見直し

相続税・贈与税対策として活用されてきた貸付用不動産の評価方法が大きく見直されます。従来は路線価や固定資産税評価額を基に評価され、市場価格との乖離を利用した節税が可能でしたが、この乖離を是正する動きが強まります。

変更点

相続開始前または贈与前5年以内に取得・新築した貸付用不動産は、従来の路線価評価ではなく、取得価額を基に地価変動等を反映した金額の80%相当額で評価されます [1] [2]。

適用開始時期

令和9年(2027年)1月1日以後の相続または贈与から適用されます [1] [2]。

経過措置

「改正通達に定める日までに」、かつ「改正通達に定める日の5年以上前から所有している土地」に新築した家屋は、改正前の路線価による評価が可能です [1]。

不動産小口化商品の評価方法の見直し

不動産小口化商品や信託受益権を活用した対策も、貸付用不動産と同様に評価方法が見直されます。これらの商品は、市場価格と相続税評価額の乖離が大きいことから、富裕層の間で人気の節税商品となっていました [1] [2]。

変更点

取得時期に関わらず、原則として「通常の取引価額(時価)」で評価されます [1] [2]。事業者が提示する価格や定期報告書記載価格が参照され、実物不動産のような評価額圧縮メリットはほぼなくなります [1]。

適用開始時期

令和9年(2027年)1月1日以後の相続または贈与から適用されます [1] [2]。

富裕層への課税強化(所得税)

所得税においても、高額所得者に対する課税強化が図られます。特に、株式の売却益や配当などの金融所得が多い富裕層の実効税率が低くなる「1億円の壁」問題の是正がさらに進められます [2]。

変更点

「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」が強化されます。具体的には、基準所得金額が3.3億円超から1.65億円超に引き下げられ、超過部分に乗じる税率が22.5%から30%に引き上げられます [2] [3]。

適用開始時期

令和9年(2027年)分からの確定申告から適用されます [2]。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の廃止

子や孫の教育資金を一括で贈与した場合に、一定額まで贈与税が非課税となる「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が廃止されます [1] [2]。

変更点

令和8年(2026年)3月31日をもって本制度は終了し、延長されません [1] [2]。ただし、適用期限までに信託等により拠出された金銭等は、期限後も引き続き非課税措置が適用されます [1]。

事業承継税制の計画提出期限の延長

事業承継税制の特例承継計画および個人版事業承継計画の提出期限が延長されます [1] [2]。

変更点

特例承継計画の提出期限が令和8年3月31日から令和9年9月末までに延長されます。個人版事業承継計画の提出期限も令和10年9月末までに延長されます [1] [2]。

具体的な対策方法・手順

2026年度税制改正に対応するためには、早期に現状を把握し、計画的な対策が不可欠です。以下に、各変更点に対する具体的な対策方法と手順を解説します。

貸付用不動産対策

貸付用不動産の評価方法見直しは、相続税対策に大きな影響を与えます。特に相続・贈与直前の取得では節税効果が大幅に減少するため、長期的な対策が不可欠です。

1. 早期取得と長期保有: 5年経過で従来の評価方法が適用されるため、早期取得と長期保有が有効です。

2. 既存不動産の評価見直し: 相続・贈与前5年以内の取得不動産は、改正後の評価が適用される可能性があり、専門家と連携した再試算と対策検討が必要です。

3. 他の対策との組み合わせ: 不動産節税効果の減少を補うため、生命保険や信託など、他の相続対策と組み合わせてポートフォリオ全体を最適化しましょう。

不動産小口化商品対策

不動産小口化商品の時価評価への変更は、既存の保有者にも影響するため、節税目的で購入していた場合は早急な見直しが必要です。

1. 評価額の把握: 保有商品の改正後の評価額を販売元や専門家に確認しましょう。

2. 代替策の検討: 節税効果が期待できないため、非上場株式の評価引き下げや事業承継対策など、新たな相続対策を検討しましょう。

3. 駆け込み贈与の注意点: 令和9年1月1日からの適用を前にした駆け込み贈与は、財産評価基本通達6項による否認リスクがあるため、慎重な判断が必要です [1] [2]。

所得税対策(「1億円の壁」是正)

「1億円の壁」是正措置の強化は、金融所得の多い富裕層の所得税負担を増加させるため、所得構造の見直しや専門家への相談が不可欠です。

1. 所得構造の最適化: 基準所得金額が1.65億円を超える場合、金融所得と事業所得のバランスを見直すなど、所得構造の最適化を検討しましょう。

2. 専門家による影響額の試算: 負担適正化措置の計算は複雑なため、税理士に相談し、具体的な影響額を試算してもらうことが重要です。

3. 税制優遇制度の活用: 所得税負担の増加に対応するため、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度の活用を再検討しましょう。

生前贈与対策

教育資金の一括贈与の非課税措置廃止は、子や孫への教育資金贈与を検討している方に大きな影響を与えます。期限までの利用や他の贈与方法の活用が重要です。

1. 制度の駆け込み利用: 令和8年3月31日までに拠出すれば非課税となるため、早めの利用を検討しましょう。

2. 暦年贈与の活用: 基礎控除110万円を活用した計画的な暦年贈与も有効です。

3. 都度贈与の活用: 教育費や生活費は、必要な都度贈与すれば非課税となるため、この制度も活用しましょう [2]。

節税効果の試算例

ここでは、税制改正が富裕層に与える影響をイメージしていただくための試算例をご紹介します。これらは一般的なケースであり、個々の状況によって結果は異なるため、必ず専門家にご相談ください。

貸付用不動産の評価額の変化

例えば、市場価格5億円の貸付用不動産を相続・贈与直前5年以内に取得した場合、改正前は相続税評価額2億円でしたが、改正後は評価額4億円(市場価格の80%)となり、相続税評価額が2億円増加し、相続税負担が増加する可能性があります。

所得税負担の増加(「1億円の壁」是正)

例えば、基準所得金額が2億円の場合、改正前は加算税額が発生しませんでしたが、改正後は1,050万円の加算税額が発生し、所得税負担が大幅に増加します。基準所得金額が1.65億円を超える富裕層は、この影響を受ける可能性があります。

注意点・よくある失敗

税制改正への対応を誤ると、予期せぬ税負担増や対策が無効になる可能性があります。以下の点に注意し、失敗を避けましょう。

* 情報収集の遅れ: 税制改正の情報は頻繁に更新されるため、常に最新情報を把握し、早めに対策を検討することが重要です。

* 自己判断のリスク: 税法は複雑なため、自己判断せず必ず税務の専門家に相談しましょう。

* 安易な駆け込み対策の危険性: 期限付きの制度では駆け込み利用が増えますが、計画性のない対策は否認リスクなどを伴うため注意が必要です [1] [2]。

* 対策の分散: 特定の節税スキームに偏らず、複数の対策を組み合わせてリスクを分散させましょう。

* 専門家による適正な評価: 不動産等の評価は専門家に依頼し、税務調査での指摘リスクを避けましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1: 2026年度税制改正はいつから適用されますか?

A1: 主要な改正は主に令和9年(2027年)から適用されますが、教育資金贈与の非課税措置廃止は令和8年(2026年)3月末と、制度ごとに開始時期が異なります [1] [2]。

Q2: 貸付用不動産をすでに保有している場合、何か影響はありますか?

A2: 相続・贈与直前5年以内に取得した不動産は、改正後の評価方法が適用され、評価額が上がる可能性があります。経過措置もあるため、専門家への確認が不可欠です [1] [2]。

Q3: 不動産小口化商品による節税は、もうできなくなりますか?

A3: 改正後は時価評価となるため、従来の評価額圧縮による大きな節税効果は期待できません。代替の相続対策を検討しましょう [1] [2]。

Q4: 「1億円の壁」是正で、所得税はどれくらい増えますか?

A4: 基準所得金額が1.65億円を超える富裕層は所得税負担が増加します。増加額は所得構造によって異なるため、税理士に試算を依頼しましょう [2]。

Q5: 教育資金の一括贈与の非課税措置が廃止される前に、駆け込みで利用すべきですか?

A5: 期限内であれば非課税措置が適用されるため、利用を検討する価値はあります。ただし、計画的に行い、必要な都度贈与する方法も検討しましょう [1] [2]。

まとめ

2026年度税制改正は、富裕層・企業オーナーの資産保全と次世代への承継に大きな影響を与えます。貸付用不動産の評価見直しや所得税の課税強化など、多岐にわたる変更点に対応するためには、早期の情報収集と計画的な対策が不可欠です。自己判断に頼らず、税務の専門家である税理士に相談し、最適な戦略を構築することをお勧めします。適切な対策を講じることで、不測の税負担を避け、大切な資産を次世代へ円滑に引き継ぐことができるでしょう。

Q&A よくある質問

Q

2026年度税制改正はいつから適用されますか?

A

主要な改正は主に令和9年(2027年)から適用されますが、教育資金贈与の非課税措置廃止は令和8年(2026年)3月末と、制度ごとに開始時期が異なります [1] [2]。

Q

貸付用不動産をすでに保有している場合、何か影響はありますか?

A

相続・贈与直前5年以内に取得した不動産は、改正後の評価方法が適用され、評価額が上がる可能性があります。経過措置もあるため、専門家への確認が不可欠です [1] [2]。

Q

不動産小口化商品による節税は、もうできなくなりますか?

A

改正後は時価評価となるため、従来の評価額圧縮による大きな節税効果は期待できません。代替の相続対策を検討しましょう [1] [2]。

Q

「1億円の壁」是正で、所得税はどれくらい増えますか?

A

基準所得金額が1.65億円を超える富裕層は所得税負担が増加します。増加額は所得構造によって異なるため、税理士に試算を依頼しましょう [2]。

Q

教育資金の一括贈与の非課税措置が廃止される前に、駆け込みで利用すべきですか?

A

期限内であれば非課税措置が適用されるため、利用を検討する価値はあります。ただし、計画的に行い、必要な都度贈与する方法も検討しましょう [1] [2]。

#税制改正#2026年#富裕層
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